火星みたいな島——スペイン・ランサローテをめぐる①
スペインじゃないみたいなスペイン
カナリア諸島の東端、アフリカ大陸のすぐ沖に浮かぶランサローテ島。
「スペインの他のどことも景色が違うから行ったほうがいい」と言われていた。
「そうか、じゃあ遊びに行くよ」と友達を頼って飛行機のチケットを取った。
飛行機を降りた瞬間の第一印象は、トロピカル。
空は明るく乾燥していて、ヤシの木が揺れている。
ああ、南の島に来たんだな〜と思った。
しかし、外に出ると風が本当に強い。
どうやらこの島では風が強いのが当たり前で、年中吹き抜けているのだと知った。
島を走り出すと、友達の言っていた意味がすぐにわかった。

市街を出ると視界に広がるのは、ごつごつとした岩の大地。
自然いっぱいの島というか、緑はあるけれどまばらだ。
冗談で「火星みたい」と言っていたけれど、友人によると本当に火星の代わりに使われている島らしい。
調べてみたら、ランサローテのロス・ボルカネス自然公園は、NASAが月・火星ミッションに向けた宇宙飛行士の訓練や火星探査車のテストに使っている場所とのことだ。
訓練地に選ばれた理由は、火星との地質学的な類似性だという。
溶岩洞窟の白いプールと、小さなエビ
この島でいちばん記憶に残っているのが、溶岩洞窟の中にあるハメオス・デル・アグア だ。きっとランサローテ島に来た人なら必ずいくスポットのひとつである。
洞窟を降りていくと、暗がりの先に静かな地底湖が現れる。

目を凝らすと、水の中に白い小さな点々。
澄んだ水の底に無数に散らばっている。
盲目の白いカニらしい。
外洋の深海に棲む種類が、溶岩洞窟の中に取り残されて生き続けている。

洞窟を抜けると、今度は真っ白なプールと庭園があった。
ここは島出身の芸術家が手がけた空間だという。
昔は泳げたらしいが、事故があってから遊泳禁止になったようだ。とても綺麗なところだから、泳げたら気持ちよかっただろう…。

中には500名ほどを収容できる溶岩洞窟を生かしたコンサートホールがあり、ひんやりとした空気を感じた。
レストランもあって、ちょっと家族で洞窟の中で涼みながら観光をするのが定番の場所のようだった。
車がないと始まらない島
ランサローテは島自体はそんなに大きくない。
地図で見ると1日あれば一周できるのではと思ってしまう。
実際は、あっちの岬に行くには一度ぐるっと戻って…を繰り返すので、短期間で全部回れるわけではない。
とっておきの場所と夕日
島を案内してくれたスペイン人の友人は、数年前にこの島に移住した。
マドリード出身の彼女は、「ここじゃ不便なことも多いけど、ランサローテ島が好きなんだ」と語った。
たしかにインフラ面に関してはやはり都市の方が優れているし、この風の強さじゃ生活するのも少し大変そうだった。
彼女が「とっておきの場所があるんだけど」と連れて行ってくれた場所があった。
一見すると普通のビーチだった。
だけど夕暮れ時になると水面が鏡のように反射するのだ。
背景の太陽と自分の影が綺麗に映し出された。

スペインでいろいろな場所にいったけれど、この小さい島で多種多様な景色を見ることはなかったので、ランサローテ島に来ることができてよかったと思った。





